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昨日は名取洋之助写真賞授賞式でした


※授賞式の写真は友人の写真家・渡邊 翔一さんに撮影いただきました。

昨日は、第13回名取洋之助写真賞授賞式でした。

今まで経験したことがないような大きな式典でした。

尊敬する写真家・評論家の方々、いつか一緒に仕事をしたい雑誌社の方々。

そんな方々と一緒の場にいれること、夢のような時間でした。

受賞スピーチの直前、胸の奥でズキズキと痛みを感じました。

これまでなんども胸の中で叫んできた「自分なんて」という言葉が原因だったようです。

それでもスピーチを終え、多くの人の拍手に囲まれると、いつのまにかその痛みは消えていました。

自分のこれまでやってきたことに、光を当ててもらったようでした。

昨日は私の写真人生に置いて大きな一歩を踏み出すことができた1日になりました。

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今回の受賞作品は、脳腫瘍という病気と向き合いながら生きる私の友人来山を撮影したものです。

彼との出会いは10年前のブータンでした。

お互いにブータンで体育教師を、そして帰国後私は写真の道へ、来山は小学校教員の道へ進みました。

彼は非常に優秀で、教員生活は順風満帆。

しかしもうすぐ、一児の父になるというとき脳腫瘍が発覚。

医者にも余命を告げられることになります。

彼の話を聞いた時、ショックでかける言葉が思いつきませんでした。

同時に私は母のことが頭をよぎったのです。

子宮癌を発症し約7年間の闘病生活の末、母は旅立ちました。

母の横で、私は自分の無力さを痛感させらたのです。

来山と私は同世代、同じ一児の父である彼が母と同じ大病を患い、どんな気持ちで過ごしているのか知りたくなりました。

そして写真を通して彼と関わろうと思ったのです。

それはかつて母親に何もできなかったふがいない自分の「くすぶり」をどうにかしたいという思いがあったかもしれません。

彼を撮影する中で気づいたことがあります。

手術直後、彼は左上肢がまったく動かなかった。今でも麻痺が残っているそうです。

けれども彼はそれを悲観することなく毎日一歩一歩前へ進んでいます。

できないことよりも、できるようになったことを噛み締めて生きている姿が印象的でした。

「いつ死んでもいいように、毎日満足することを心がけている。自分にできることを積み重ねるだけ」彼の言葉は強いし重かった。

どんな苦境にたたされても、それと折り合える意思をもつことの大切さを彼の横で学びました。

彼を撮影し、今回の名取洋之助写真賞を受賞して思ったこと、それは私自身の人生もいつどうなるかわからないということ。

だからこそ、この1年をこの1日を大切に、そして今自分にできることを精一杯やっていこうと思います。

これまで私をご指導くださった写真関係の皆様、応援してくれた友人たち、支えてくれた家族、友人来山輝昌にこの場をかりて感謝の言葉を伝えたいです。

ありがとうございました。

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下記の日程で写真展が開催されます! ぜひお越しください。

2017年第13回「名取洋之助写真賞」受賞作品 写真展

平成30年1月26日(金)~ 2月1日(木)富士フイルムフォトサロン東京

平成30年2月16日(金)~ 22日(木)富士フイルムフォトサロン大阪

写真:授賞式に参加した皆様と

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