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ぼくの地元にある、ブータン伝統美術工房へ行ってきた


写真:ブータン人伝統絵師、プンツォ・ワンディさんと現在作成中の仏画

以前、ブログでも紹介したが友人の石上陽子さんと彼女のブータン人パートナー、プンツォさんがブータン伝統美術工房をスタートさせた。

どんな工房で、2人がどんな活動をしているのか気になり、お邪魔させていただく機会をつくってもらった。

ぼくの地元である千葉県横芝光町の出身の石上陽子さん。以前家族が経営していた質屋を工房にリフォーム。業者には頼まず、2人で協力して改装作業を行い、ギャラリーと作品を制作する工房スペースを作り上げた。

写真:石上陽子さんとプンツォ・ワンディさん。後ろが改装してできた工房。

写真:工房に飾られている作品と。

写真:現在取り掛かっている仏画を描くプンツォさん。

写真:仏画は細かい作業の連続。この絵は1ヶ月ほどかけて仕上げるそうだ。

写真:仏画を描く画材。

写真:材料を整理するプンツォさん。

石上さんが初めてブータンを旅行したのは2006年。その時見た伝統的な建築装飾に雷に打たれたような衝撃を受け、それ以降ブータン伝統美術に魅了された。2009年にはブータンを再度訪問し、国立伝統工芸学院・仏画科で三日間の体験入学をさせてもらったそうだ。「もっと学びたい」という気持ちが強くなっていくが、日本人がブータンの伝統的な専門校で学ぶことは非常に難しい狭き門だった。しかし、彼女の情熱と行動力で2011年に国立伝統工芸学院の仏画科に正式に入学を勝ち取ることができた。

その時、同じ仏画科の2年先輩だったのがプンツォさん。2人は意気投合し結婚することになった。

石上さんは5年間工芸学院で学び、その後現地の私立ペルキル・スクールで図画工作の教員として2年働いた。

プンツォさんは石上さんと同じ学校で6年仏画を学び、その後ブータン仏教界の巨匠と言われるロッペン・トプゲの下で5年間働いた。

写真:工房に飾られていた、2人が出会ったころの写真。

2人は伝統美術に関わりながらブータンで慎ましく暮らしていた。

しかし昨年、石上さんの父親が体調を崩したことがきっかけで、2人は今後の人生を考えたそうだ。

石上さんは父親のためにも日本に帰り、そばにいてあげたいという想いが強くなっていった。

プンツォさんも日本へ行くことを真剣に考えていた。それは、仏画師としてのキャリアの悩みもあったからだ。

巨匠ロッペン・トプゲ師の下で働いていば、仕事が尽きることはないし、名誉ある大きな仕事に関わることができる。

しかし、職人社会では人の下で働いている限り給料には限界がある。今後の将来を思い描くことができずにいた。 そんな時、石上さんの親父が倒れてしまった。体調は想像より悪かったようだ。石上さんは居ても立っていられず、父親のそばに行くことをプンツォさんに伝えた。プンツォさんも「これは何か意味があるのではないか?ブータンにいても日本にいても一生修行を続けていくことは変わらない」そう感じ、流れに身を任せることにしたそうだ。

そして石上さんとプンツォさんは、新天地日本で絵師として挑戦することを決めた。

ブータンは仏教国であり、人々は仏画師に対して尊敬の念が強い。仕事も定期的にある。

しかし、日本ではブータン伝統美術は馴染みがほとんどない。

しかも千葉県の片田舎である横芝光町で勝負するというのは、ハードルが高い挑戦だ。

写真:筆が鈍らないように日々の練習は欠かせない。

写真:プンツォさんが国立伝統工芸学院時代に作成したテスト課題。

写真:プンツォさんが描いた作品。

今年の1月、2人は日本に帰国。しばらくして体調を崩したのはプンツォさんだった。

日本語ができない。同性で悩みを話せる仲間がいない。仕事がない。お金が入らない。何もできていない。

そんな状況が重なり、精神的に追い詰められてしまったという。

苦しい現実と向き合うなか、2人が取り組んだのが、工房をつくることだった。

石上さんの家族が経営していた質屋を改装。

業者に頼まなかったので、時間はかかったが安く仕上げることができた。

少しずつでも目に見える成果がある。

前に進んでいるという実感がプンツォさんと石上さんの心の支えに。

また、完成した工房は2人が一番落ち着ける居場所にもなった。

写真:工房の壁に大きな龍の絵を描くことを計画中。

写真:敷地内にあるブータン流完全無農薬有機栽培の家庭菜園。

写真:ブータンでは殺生をすることが嫌われるため、農薬は使わない。これは虫の為に作られた畑。

写真:食事はいつも2人で準備。

写真:ごはんを必ず仏壇に捧げる。

写真:仏壇への祈りは欠かさない。

写真:仏壇から下げてきた古いご飯(神様のお下がり)は家の前の石垣に。それをスズメや小動物が食べる。

写真:食卓にはいつも日本とブータンのメニューが並ぶ。

写真:唐辛子たっぷり、激辛ふりかけ「エゼ」はご飯のおとも。

今はまだ仕事がない。

しかし、情報を収集しできることを模索した。 その結果千葉県富里市にあるJOYFUL-2富里店でブータン伝統絵画教室を開けることになった。

現在、生徒さんを募集してるとのこと。

情報を最後に記載したので、興味がある方はぜひ。

また、ぼく自身も2人に仕事を発注した。

先日行われたKYOTO GRAPHIE京都国際写真祭にてポートフォリオレビュー賞「FUJIFILM AWARD」を受賞することができた。

その賞品として今年2018年10月にフジフイルム スクエア(六本木・東京ミッドタウン)のギャラリースペースで

写真展開催が決まった。

その時、写真展のテーマに沿ったブータン仏画を一緒に展示することを計画している。

それを2人にぜひ描いてもらいたいと思い、仕事を依頼した。

2人の作品とぼくの写真のコラボ作品、ぜひ注目していただきたい。

どんな展示にに仕上がるのかぼく自身も楽しみだ。

展示の詳細は改めて報告します。

きっとぼく以外にもブータン伝統美術に興味があって、こんな絵が欲しい!とかこんな絵を描いて欲しい!って人は日本中にたくさんいると思っている。

ぜひ2人の活動を多くの人に知ってほしい。

ピンときたらぜひこのブログをシェアしてほしいし、興味がありそうな人がいたら2人を紹介してほしいと思う。

2人の日本での挑戦をぜひ応援してください。

こちらが「ブータン伝統美術工房」のwebサイト↓

写真:今後のことを話し合う、プンツォさんと石上さん。

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2人が始める教室↓

●絵の好きな方、ブータン好きな方、どなたも大歓迎●

ブータン幸せアート教室

場所 :JOYFUL-2富里店(千葉県富里市)

この度、ブータンを感じながら楽しく伝統絵画を学べるお教室をご用意しました。

ブータンのことなどおしゃべりしながら一緒に作りませんか?

第2・4日曜日 10:00~12:00

月謝(月二回):¥4,860(維持費・税込)

*材料費は別。

*お問い合わせ・お申込み

JOYFUL-2富里店スタッフ 0476-92-7721

Bhutanese Traditional Art Studio

ホームページ:www.bta-studio.jimdo.jp 

Facebook:https://www.facebook.com/btas2018/ 

e-Mail:xiao_shitou@yahoo.co.jp 

内容 :

ブータンではあらゆる建物の外装・内装に絵画装飾が施されています。それはまるで国中が美術館であるかのようです。

そのブータンの伝統デザインを基本から学んでいきます。

面相筆の筆遣い・デザインの基本を基に、紙に描くことから始めます。

その後、色の構成を学んだ上で、自分の作品を飾るための額縁を自分でデザイン装飾します。

講師プロフィール :

●プンツォ・ワンディ

ブータン人伝統絵師。

絵師として11年の経験を持つ。

ブータン伝統工芸学院仏画科(6年コース)卒業。

いしがみようこと結婚後、2018年に日本に移住し、「ブータン伝統美術工房」を開設。

●いしがみようこ

日本人絵師。

ブータン伝統工芸学院仏画科(6年コース)卒業後、私立小中高一貫校ペルキル・スクールで図画工作を2年間指導、2018年に故郷に戻る。

「ブータン伝統美術工房」を夫と共に運営。

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写真家 関健作同行 ブータンの旅

2018年8月19日(日)~8月25日(土) 

タイ・バンコク発着 7日間 

ツアー詳細はこちらから↓

関健作 写真集「OF HOPE AND FEAR」

オンラインご予約受付中

(99部限定、受注生産)

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