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  • 関健作

映画「ゲンボとタシの夢見るブータン」の監督、アルム・バッタライさんに会ってきた


ブータン人作家によるドキュメンタリー映画

「ゲンボとタシの夢見るブータン」の監督アルム・バッタライさんに会ってきた。

現在、新しいドキュメンタリー映画作成で忙しくされているが、

ぼくのために時間をつくってれた。

物腰が柔らかく、どんな質問にも丁寧に答える清々しい方だった。

ブータンのサムツィ県出身、今年33歳になる。

高校卒業後、インドの大学で3年学びその後ブータンの国営放送BBSで5年間働いた。

報道に携わる仕事にやりがいはあったが、何かが物足りない。

今後について考えていたところ、ヨーロッパのドキュメンタリー制作育成プログラムに参加する機会を得ることができ、そこで映像を2年間学んだ。

ずっと若者たちの生き方に興味があったアルムさんは

ブータンのいろいろなユースプログラムへ足を運んだ。

ゲレフという場所で開催されていたサッカー合宿に参加したときに出会ったのが、映画の主人公の一人であるトランスジェンダーの女の子、タシだった。

恥ずかしげがない、オープンでなんでも話してくれるユニークなキャラクターのタシに惚れ込み、実家にもついていった。

タシのお家は中央ブータン、ブムタン県にあるチャカル・ラカンという由緒正しいお寺だった。

そこで映画のもう一人の主人公、タシの兄であるゲンボと出会う。

ゲンボの父親、テンジンは寺院と家族の暮らしを守るためにも、長男であるゲンボにお寺をついでほしい。叶わなかった僧侶になる夢もゲンボにたくそうとしていた。

先祖代々受け継がれてきたお寺を引き継ぐため、学校を辞め僧院学校に行くことに思い悩むゲンボ。サッカーやゲーム、facebookで異性との交流に興味がある。

本心は僧侶になんかなりたくない。

しかし尊敬する父親には意見することも本音を言うこともできず黙り込んでしまう。

そんな父と息子のすれ違い、価値観のギャップを見たとき、この家族の映画を本気でつくりたいと思ったそうだ。これは現代ブータンが直面する世代間の問題である。また、アルムさん自身も父親との間で抱いた蟠りだったからだ。

長年勤めたブータン国営放送をやめ、本格的に映画作りに取り掛かった。

ドキュメンタリー制作育成プログラムで出会ったハンガリー出身のドロッチャ・ズルボーさんと協力し、国をまたがる6つの財団から資金を調達。

3年をついやし、完成したのが現在日本で公開されているドキュメンタリー映画「ゲンボとタシの夢見るブータン」である。

「今回の映画は近代化と伝統文化の間で急激に変化するブータンを舞台にしています。世代間の価値観のギャップで揺れる家族の葛藤がテーマです。映画を見た人には寛容について考えてほしい。お互いの価値観を知ろうとすることは幸せに生きるために必要な要素だと思います」

アルムさんの初監督ドキュメンタリー作品、思いがつまった映画になった。

正直、ぼくは期待しないで試写会に参加した。

しかし独特テンポと映像の美しさ、ユニークな視点で進むストーリーにどんどん引き込まれた。

ゲンボとタシが抱える悩みに共感し、静かで美しいリアルな人間ドラマに魅了された。

この映画をつくった監督に嫉妬心を抱いた。

だから今回無理言ってアルムさんに会わせてもらった。

同じドキュメンタリー作家として大いに刺激されたひと時だった。

ぜひ多くの人に見てもらいたい映画です。

現在こちらの会場で公開中。

映画館 ポレポレ東中野

https://www.mmjp.or.jp/pole2/

webサイト

https://www.gembototashi.com​

明日、8月30日19:10〜の回上映後、ポレポレ東中野にて映画を配給しているサニーフィルムの有田 浩介さんとトークショーをします。

アルムさんから教えてもらった映画の秘話や、ぼくが現在取り組んでいるブータンのヒップホッパーたちについて話をしようと思っています。

ぜひご参加ください。

以下、今後のトークイベント↓

《ポレポレ東中野 劇場ミニトークイベント》

◎8/30(木)19:10〜の回上映後 関 健作/写真家、元ブータン日本人教師

◎9/2 (日)12:20〜の回上映後 関野吉晴/探検家、医師

◎9/3 (月)19:10〜の回上映後 石川 直樹/写真家

◎9/5 (水)19:10〜の回上映後 南 のえみ/Be Inspired! 編集者

◎9/7 (金)19:10〜の回上映後 加部 一彦/埼玉医科大学総合医療センター小児科

お問い合わせ:03-3371-0088

#ブータン #Bhutan #写真家 #ドキュメンタリー #ゲンボとタシの夢見るブータン

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